便秘
便秘とは
便秘について
「毎日便が出ない」
「便が硬くてなかなか出ない」
「何度もトイレに行くのにすっきりしない」
「便が残っている感じがする」
このような症状でお悩みではありませんか?
便秘とは、単に「何日間便が出ていないか」だけで判断するものではありません。
排便回数が少ないことに加えて、
- 便が硬い
- 強くいきまないと出ない
- 排便に時間がかかる
- 便が残っている感じがする
- 便意があるのに出せない
- 排便後もすっきりしない
など、快適に排便できない状態も便秘に含まれます。
毎日排便がなくても、無理なく排便できていて症状がなければ必ずしも便秘とは限りません。
一方、毎日排便があっても、強くいきむ、残便感がある、排便に長時間かかる場合は便秘症として治療が必要になることがあります。
便秘は食事や生活習慣によって一時的に起こることもありますが、大腸がんなどの病気、服用している薬、甲状腺などの全身疾患、排便に関係する筋肉の働きなど、さまざまな原因で起こります。
このような便秘はご相談ください
- 便が3日以上出ないことが多い
- 排便回数が以前より減った
- 便が硬く、なかなか出ない
- 排便時に強くいきんでいる
- 排便に長時間かかる
- 排便後も便が残っている感じがする
- 何度もトイレに行かないと出し切れない
- お腹が張って苦しい
- 腹痛を伴う
- 下剤を使用しないと排便できない
- 市販の便秘薬を長期間使用している
- 以前より便秘が悪化している
- 便秘と下痢を繰り返している
- 最近、便が以前より細くなった
- 便に血が混じる
- 健診で便潜血陽性を指摘された
- 貧血を指摘された
- 原因の分からない体重減少がある
- 大腸カメラを長期間受けていない
「昔から便秘だから体質だろう」と考えている方でも、症状が変化した場合は一度ご相談ください。
特に注意していただきたい便秘
便秘の多くは良性のものですが、次のような症状を伴う場合は、大腸の病気が隠れていないか確認することが重要です。
最近になって便秘になった
以前は問題なく排便できていたにもかかわらず、最近になって便秘が続くようになった場合は注意が必要です。
特に中高年以降で新たに便通が変化した場合は、大腸がんなどの器質的疾患がないかを確認します。
便が以前より細くなった
大腸がんなどによって腸管が狭くなると、便が細くなることがあります。
一時的な変化だけで大腸がんと判断することはできませんが、便の細さが続く場合や、血便・腹痛などを伴う場合はご相談ください。
血便がある
便に血液が混じる、便の表面に血が付く場合は、痔だけでなく、大腸がん、大腸ポリープ、大腸炎などの可能性があります。
「痔があるから」と自己判断せず、繰り返す場合は原因を確認することが大切です。
貧血・体重減少を伴う
原因不明の貧血、食欲低下、体重減少などを伴う便秘では、大腸の病気を含めた評価が必要です。
大腸がんは早期には症状がほとんどないことがありますが、進行すると、便秘・下痢、便が細くなる、残便感、腹部膨満、血便、貧血などが現れることがあります。
すぐに受診していただきたい症状
次のような症状がある場合は、通常の便秘ではなく、腸閉塞など緊急性の高い状態の可能性があります。
- 便もガスもまったく出ない
- お腹が急激に大きく張っている
- 強い腹痛が続いている
- 嘔吐を繰り返している
- 水分を飲んでも吐いてしまう
- 発熱を伴う強い腹痛がある
- 大量の血便が出た
- 冷や汗や強いふらつきがある
- 意識が遠のく
腸閉塞では、便やガスが出なくなる、腹痛、吐き気、嘔吐などが現れます。状態によっては入院や手術が必要になることもあります。
このような場合は、通常の外来受診を待たず、救急医療機関を受診してください。
便秘には大きく2つの症状タイプがあります
便通異常症診療ガイドライン2023では、日常診療で便秘を考える際、症状から大きく次の2つに整理しています。
排便回数減少型
「便そのものがなかなか出てこない」タイプです。
- 排便回数が少ない
- 数日便が出ない
- 便が硬い
- お腹が張る
などがみられます。
腸の中を便が移動する速度が遅くなっている場合などがあります。
排便困難型
「便は直腸まで来ているのに、うまく出せない」タイプです。
- 強くいきまないと出ない
- 排便に時間がかかる
- 肛門付近で便がつかえている感じがする
- 排便後も残便感がある
- 何度もトイレに行く
- 手で押すなどしないと排便しにくい
などがみられます。
直腸や肛門、骨盤底筋などの排便機能が関係する場合があります。
便秘治療は、「何日に1回便が出たか」だけでなく、無理なく、残便感なく排便できる状態を目指すことが重要です。
便秘の主な原因
生活習慣・食事
次のような生活習慣が便秘に関係することがあります。
- 食事量が少ない
- 水分摂取が少ない
- 食物繊維が不足している
- 運動量が少ない
- 排便を我慢する習慣がある
- 生活リズムが不規則
- 環境の変化
- ストレス
ただし、すべての便秘が生活習慣だけで起こるわけではありません。
生活習慣を改善しても続く場合は、ほかの原因を確認します。
機能性便秘症
大腸や直腸に、症状を説明する明らかな器質的病変がないにもかかわらず、慢性的に便秘が続く状態です。
大腸を便が移動する速度や、直腸・肛門から便を排出する機能などが関係します。
過敏性腸症候群(IBS)
腹痛とともに便秘が続いたり、便秘と下痢を繰り返したりする場合は、便秘型の過敏性腸症候群などが考えられます。
過敏性腸症候群では、大腸にがんや炎症などの明らかな病変がないことを確認することも重要です。
薬による便秘
薬の副作用によって便秘が起こることがあります。
便秘に関係することがある薬には、
- 一部の鎮痛薬
- オピオイド
- 抗コリン作用のある薬
- 一部の抗うつ薬
- 鉄剤
- 一部の抗アレルギー薬
- カルシウム拮抗薬など
があります。
薬を自己判断で中止すると危険な場合があります。
便秘が気になる場合は、服用中の薬を医師にお伝えください。
全身の病気による便秘
次のような病気によって便秘が起こることがあります。
- 甲状腺機能低下症
- 糖尿病
- パーキンソン病
- 神経疾患
- 脊髄疾患
- 電解質異常
必要に応じて血液検査などを行います。
大腸がんなどによる便秘
大腸がんなどによって腸管が狭くなると、便が通りにくくなり便秘が起こることがあります。
特に、
- 最近便秘が始まった
- 便が細くなった
- 血便がある
- 便潜血陽性
- 貧血がある
- 体重が減った
- 腹痛や腹部膨満感を伴う
場合は、大腸カメラなどによって大腸の状態を確認することが重要です。
日本消化器内視鏡学会でも、原因不明の便秘・腹痛は大腸内視鏡検査を検討する状況として挙げられています。
女性と便秘
便秘は女性にも多くみられる症状です。
月経周期、妊娠・出産、食事量、排便を我慢する習慣、骨盤底筋の働きなど、さまざまな要因が関係します。
特に、
「昔から便秘だから体質」
「女性だから便秘でも仕方がない」
と考えて、長期間そのままにしている方もいます。
しかし、女性でも大腸がんなどによって便通が変化することがあります。最近便秘が悪化した
- 便が細くなった
- 血便がある
- 貧血がある
- 体重が減った
などの場合は、婦人科的な要因だけでなく、大腸の病気がないか確認することも大切です。
当院では、女性医師による大腸カメラにも対応しています。
男性医師による検査に抵抗がある方は、予約時にご相談ください。
便秘の検査
問診
便秘の診療では、
- いつから便秘があるか
- 週に何回排便するか
- 便の硬さ
- 排便時にいきむか
- 残便感があるか
- 排便にかかる時間
- 血便の有無
- 腹痛の有無
- 体重変化
- 服用している薬
- 過去の大腸カメラ
- 大腸ポリープの既往
- 大腸がんの家族歴
などを確認します。
便の状態については、硬さや形も診断・治療の参考になります。
診察
腹部の張り、圧痛などを確認します。
排便困難が強い場合などには、必要に応じて直腸・肛門の状態について評価することがあります。
血液検査
必要に応じて、
- 貧血
- 炎症反応
- 甲状腺機能
- 血糖
- 腎機能
- 電解質
などを確認します。
便潜血検査
便に目では見えない血液が混じっていないかを調べます。
便潜血検査が陽性の場合は、大腸カメラによる精密検査が必要です。
大腸カメラ検査
すべての便秘の方に大腸カメラが必要なわけではありません。
一方、次のような場合は、大腸の器質的な病気がないか確認するため、大腸カメラを積極的に検討します。
- 最近になって便秘が始まった
- 以前より便秘が悪化している
- 便が細くなった
- 血便がある
- 便潜血陽性を指摘された
- 貧血がある
- 原因不明の体重減少がある
- 腹痛が続いている
- 便秘と下痢を繰り返している
- 大腸がんの家族歴がある
- 大腸ポリープの既往がある
- 長期間、大腸カメラを受けていない
- 治療しても便秘が改善しない
大腸カメラでは、大腸がん、大腸ポリープ、大腸炎、狭窄などがないか、大腸粘膜を直接確認します。
日本消化器内視鏡学会では、原因不明の便秘・腹痛や便潜血陽性などは、大腸内視鏡検査を検討する状況とされています。また、便潜血検査が陰性でも、症状の原因が説明できない場合には大腸内視鏡を行うことがあります。
当院では、患者さんの健康状態やご希望などを確認したうえで、鎮静剤を使用した大腸カメラにも対応しています。
医学的に切除可能な大腸ポリープが見つかった場合は、検査中に日帰りで切除できる場合があります。
女性医師による大腸カメラもご相談いただけます。
その他の検査
症状に応じて、
- 腹部超音波検査
- 腹部画像検査
などが必要になる場合があります。
専門的な検査が必要と判断した場合は、対応可能な医療機関へご紹介します。
便秘の治療
便秘の治療は、単に「毎日排便させること」だけが目的ではありません。
便の硬さ、排便回数、いきみ、残便感、腹部症状などを改善し、無理なく排便できる状態を目指します。
食生活の見直し
食事量や水分が不足している場合は、適切な摂取を心がけます。
食物繊維も便秘改善に役立つことがありますが、
「便秘なら、とにかく食物繊維を大量に摂ればよい」というわけではありません。
腹部膨満が強い場合や、腸管が狭くなっている場合などでは、食物繊維を増やすことで症状が悪化することがあります。
症状に応じて調整します。
排便習慣
便意があるときは、できるだけ我慢しないことが大切です。
また、食後は胃から大腸への反射によって腸が動きやすくなるため、朝食後などに落ち着いてトイレへ行く習慣を作ることも有用です。
長時間強くいきみ続けることは避けます。
運動
体調に合わせて、散歩などの無理のない身体活動を取り入れます。
特別に激しい運動を行う必要はありません。
薬物療法
生活習慣だけで改善しない場合は、便秘の症状や原因に応じて薬を使用します。
主な薬には、
- 便に水分を保持して軟らかくする薬
- 腸液の分泌を促す薬
- 胆汁酸の働きを利用して排便を促す薬
- 大腸を刺激して排便を促す薬
- 坐薬・浣腸
などがあります。
便通異常症診療ガイドライン2023では、浸透圧性下剤、粘膜上皮機能変容薬、胆汁酸トランスポーター阻害薬、刺激性下剤など、さまざまな治療選択肢について検討されています。
どの薬が適しているかは、便の硬さ、排便回数、腹痛・膨満感、腎機能、ほかに服用している薬などによって異なります。
市販の便秘薬を長期間使用している方も、現在の治療が適切か一度ご相談ください。
便秘についてよくある質問
Q.毎日便が出ないと便秘ですか?
A.毎日便が出なくても、無理なく排便できていて、腹痛や残便感などがなければ、必ずしも便秘とは限りません。
一方、毎日排便があっても、強くいきむ、便が硬い、残便感が強いなどの場合は便秘症として治療が必要になることがあります。
排便回数だけでなく、「快適に排便できているか」が重要です。
Q.何日便が出なかったら病院へ行くべきですか?
A.「何日以上」という日数だけでは判断できません。
数日排便がなくても症状が軽い場合もあれば、短期間でも強い腹痛や嘔吐を伴い、緊急の病気が隠れている場合があります。
便秘が長期間続く、以前より悪化した、市販薬を使用しても改善しない場合はご相談ください。
便もガスも出ない、強い腹痛、嘔吐、お腹の著しい張りがある場合は、腸閉塞の可能性があるため早急な受診が必要です。
Q.昔から便秘なので、体質ではないですか?
A.慢性的な便秘が長年続いている方もいます。
ただし、以前と比べて症状が悪化した、便が細くなった、血便が出るようになった、体重が減ったなどの変化がある場合は、体質だけとは判断できません。
一度、大腸の病気がないか確認することが重要です。
Q.便が細くなったら大腸がんですか?
A.便が細いだけで大腸がんと診断することはできません。
便の硬さや腸の動きによって、一時的に細くなる場合もあります。
一方、大腸がんによって腸が狭くなることで便が細くなることもあります。
便の細さが続く場合や、血便、便秘の悪化、貧血、体重減少などを伴う場合は、大腸カメラをご検討ください。
Q.便秘でも大腸カメラを受けた方がよいですか?
A.すべての便秘の方に大腸カメラが必要なわけではありません。
ただし、
- 原因不明の便秘
- 最近始まった便秘
- 便が細くなった
- 血便がある
- 便潜血陽性
- 貧血
- 体重減少
- 腹痛を伴う
- 治療しても改善しない
などの場合は、大腸カメラで大腸の病気がないか確認することを検討します。
問診だけで大腸がんなどを完全に否定することはできません。
Q.便潜血検査が陰性なら、大腸カメラは必要ありませんか?
A.便潜血検査が陰性でも、大腸がんや大腸ポリープを完全に否定することはできません。
原因不明の便秘や、便が細い、血便、体重減少などの症状が続く場合は、便潜血陰性でも大腸カメラを検討することがあります。
Q.下剤を毎日飲んでも大丈夫ですか?
A.下剤には複数の種類があり、長期間使用できる薬もあります。
一方、薬の種類や患者さんの状態によって注意点が異なります。
便秘薬を毎日使用している、市販薬の量が増えている、薬を飲んでも効きにくくなっている場合は、自己判断で増量せず医師へご相談ください。
Q.食物繊維をたくさん食べれば便秘は治りますか?
A.食物繊維が不足している方では改善につながることがあります。
一方、腹部膨満が強い場合や、一部の便秘では食物繊維を急に増やすことで、お腹の張りが悪化することがあります。
「多ければ多いほどよい」というものではなく、症状を確認しながら調整します。
Q.便秘と下痢を繰り返します。便秘症ですか?
A.過敏性腸症候群などでも便秘と下痢を繰り返すことがあります。
一方、大腸がんなどでも便通の変化が現れる場合があります。
特に血便、便が細い、貧血、体重減少などを伴う場合は、大腸カメラを含めた評価をご相談ください。
Q.女性医師による大腸カメラを受けられますか?
A.当院では女性医師による大腸カメラにも対応しています。
男性医師による検査に抵抗があり、大腸カメラをためらっている方は、予約時に「女性医師希望」とお申し出ください。
女性医師の勤務日や検査枠によって、ご希望の日程に対応できない場合があります。
便秘を「体質」と決めつけずご相談ください
便秘は非常によくみられる症状ですが、原因は一人ひとり異なります。
生活習慣が関係する場合もあれば、
- 機能性便秘症
- 過敏性腸症候群
- 薬剤の副作用
- 甲状腺などの全身疾患
- 大腸がんなどの大腸疾患
が関係している場合もあります。
特に、
- 最近便秘になった
- 以前より悪化した
- 便が細くなった
- 血便がある
- 便潜血陽性を指摘された
- 貧血がある
- 体重が減っている
- 大腸カメラを長期間受けていない
方は、一度原因を確認することが重要です。
芝浦クリニックでは、症状に応じて血液検査、便潜血検査、大腸カメラなどを行い、便秘の原因を評価します。
鎮静剤を使用した大腸カメラや、女性医師による大腸カメラにも対応しています。
