吐き気・嘔吐
吐き気・嘔吐について
「気持ち悪くて食事がとれない」
「吐きそうな感じが続いている」
「食べると吐いてしまう」
「朝になると吐き気がする」
吐き気とは、一般に「気持ち悪い」「吐きそう」と感じる不快な感覚で、医学的には悪心とも呼ばれます。
嘔吐は、胃や消化管の内容物が口から排出される状態です。
吐き気・嘔吐は、感染性胃腸炎や食べ過ぎなど比較的よくみられる原因で起こる一方、
- 胃炎・胃粘膜障害
- 胃・十二指腸潰瘍
- 機能性ディスペプシア
- 胃がん
- 腸閉塞
- 胆のう・膵臓の病気
- 薬の副作用
- めまい・片頭痛
- 妊娠
- 心臓や脳の病気
など、さまざまな原因で起こります。
吐き気・嘔吐だけで原因を特定することはできません。
症状が続く、繰り返す、体重減少や胃痛を伴う場合などは、原因を確認することが重要です。
このような吐き気・嘔吐はご相談ください
- 吐き気が何日も続いている
- 吐き気を繰り返している
- 実際に何度も吐いてしまう
- 食事をすると気持ち悪くなる
- 食欲が低下している
- 胃痛やみぞおちの痛みを伴う
- 胃もたれが続いている
- 胸やけや呑酸を伴う
- 少し食べるだけで満腹になる
- 下痢や腹痛を伴う
- お腹が張っている
- 市販薬で一時的に改善しても再発する
- 原因が分からないまま症状が続いている
- 体重が減ってきた
- 貧血を指摘された
- 黒い便が出た
- 生魚を食べた後、急に胃痛と吐き気が出た
- 胃カメラを長期間受けていない
軽い吐き気が一時的に起こっただけであれば自然に改善することもあります。
一方、症状が繰り返す場合や以前と違う症状が現れた場合は、一度消化器内科へご相談ください。
すぐに受診していただきたい吐き気・嘔吐
吐き気・嘔吐の中には、通常の胃腸炎や胃の不調ではなく、緊急性の高い病気が隠れている場合があります。
吐いたものに血が混じっている
次のような場合は、胃や食道などから出血している可能性があります。
- 赤い血を吐いた
- 黒っぽい血を吐いた
- コーヒーかすのようなものを吐いた
- 吐血とともに黒い便が出た
胃潰瘍・十二指腸潰瘍などでも消化管出血を起こすことがあります。
出血量が多い、ふらつきや冷や汗を伴う場合は、速やかに救急医療機関を受診してください。
水分を飲んでも吐いてしまう
嘔吐を繰り返して水分を保持できなくなると、脱水や電解質異常を起こすことがあります。
- 水を飲んでもすぐ吐く
- 尿がほとんど出ない
- 口の中が強く乾く
- 強いふらつきがある
- ぐったりしている
などの場合は、早めの受診が必要です。
お腹が大きく張り、便やガスが出ない
腹部膨満とともに、
- 便が出ない
- ガスが出ない
- 腹痛がある
- 嘔吐を繰り返す
場合は、腸閉塞などの可能性があります。
腸閉塞では、腸管の通過が悪くなることで、腹痛、吐き気・嘔吐、便やガスが出なくなるなどの症状が現れ、状態によっては手術が必要になることがあります。
強い頭痛や意識障害を伴う
突然の激しい頭痛、意識がぼんやりする、手足が動かしにくいなどの症状に吐き気・嘔吐を伴う場合は、脳の病気を含めた評価が必要です。
通常の消化器内科受診を待たず、救急医療機関の受診を検討してください。
胸の圧迫感・冷や汗を伴う
吐き気や嘔吐は、心筋梗塞などの心臓の病気で起こる場合もあります。
- 胸が締め付けられる
- 胸からみぞおちが重苦しい
- 冷や汗が出る
- 息苦しい
- 肩・腕・顎などに違和感が広がる
といった症状を伴う場合は注意が必要です。
心筋梗塞では、胸部症状とともに吐き気や嘔吐を伴うことがあります。
このような症状が突然起こった場合は、救急車を呼ぶなど速やかに対応してください。
吐き気・嘔吐で考えられる主な病気
感染性胃腸炎・食中毒
ウイルスや細菌などによる胃腸炎では、
- 吐き気
- 嘔吐
- 下痢
- 腹痛
- 発熱
などが起こります。
例えばノロウイルスによる感染性胃腸炎では、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などが主な症状です。
多くは時間とともに改善しますが、嘔吐を繰り返して水分がとれない、高熱、血便、強い腹痛などがある場合は受診してください。
胃炎・胃粘膜障害
胃粘膜に炎症や傷害が起こることで、
- 吐き気
- 胃痛
- 胃の不快感
- 食欲低下
などが現れることがあります。
アルコール、一部の薬剤、感染症など、さまざまな原因があります。
症状が繰り返す場合は、必要に応じて胃カメラで胃粘膜の状態を確認します。
胃・十二指腸潰瘍
胃や十二指腸の粘膜が深く傷ついた病気です。
- みぞおちの痛み
- 吐き気
- 食欲低下
- 胃の不快感
などが現れることがあります。
ピロリ菌感染やNSAIDsなどの薬剤が主な原因となります。
潰瘍から出血すると、吐血や黒い便、貧血などが起こることがあります。
日本消化器病学会では、消化性潰瘍診療ガイドラインを2026年4月に改訂しています。
機能性ディスペプシア
胃カメラなどで、症状を説明できる明らかな病気がないにもかかわらず、
- 食後の胃もたれ
- 少し食べるだけで満腹になる
- みぞおちの痛み
- みぞおちの焼ける感じ
などが続く病気です。
吐き気を伴う方もいます。
胃の運動機能、知覚過敏、脳腸相関など、複数の要因が関係すると考えられています。
日本消化器病学会の診療ガイドラインでも、機能性ディスペプシアについて診断・治療の指針が示されています。
逆流性食道炎
胃酸などの胃内容物が食道へ逆流する病気です。
代表的な症状は、
- 胸やけ
- 酸っぱいものが上がってくる
- のどの違和感
などですが、胃の不快感や吐き気を感じる場合もあります。
症状に応じて胃カメラを行います。
胃がん
胃がんは、早期には自覚症状がほとんどないことがあります。
症状が現れる場合には、
- 胃の痛み
- 胃の不快感
- 胸やけ
- 吐き気
- 食欲不振
- 貧血
- 黒い便
などがみられます。
これらは胃炎や胃潰瘍でも起こるため、症状だけで胃がんかどうかを判断することはできません。
特に、
- 吐き気が長期間続いている
- 食欲低下を伴う
- 体重が減っている
- 貧血がある
- 黒い便が出る
- 胃痛が続いている
場合は、胃カメラの必要性をご相談ください。
アニサキス症
サバ、アジ、イワシ、カツオ、イカなどの魚介類を、生または加熱・冷凍が不十分な状態で食べた後、
- 激しいみぞおちの痛み
- 吐き気
- 嘔吐
が突然現れた場合は、胃アニサキス症の可能性があります。
厚生労働省によると、急性胃アニサキス症では、食後おおむね12時間以内に激しいみぞおちの痛み、吐き気、嘔吐が起こります。
胃アニサキス症では、胃カメラで虫体を確認し、鉗子で摘出します。
胆石症・胆のう炎
胆石や胆のう炎などでは、
- みぞおちの痛み
- 右上腹部痛
- 吐き気
- 嘔吐
などが現れることがあります。
特に食後に右上腹部の痛みが起こる場合などは、胃ではなく胆のうが原因の可能性があります。
血液検査や腹部超音波検査などを組み合わせて評価します。
膵臓の病気
急性膵炎などでは、
- 強いみぞおちの痛み
- 背中へ広がる痛み
- 吐き気
- 嘔吐
などがみられます。
強い上腹部痛や嘔吐が続く場合は、血液検査や画像検査を含めた評価が必要です。
腸閉塞
腸の通りが悪くなることで、
- 腹痛
- お腹の張り
- 吐き気
- 嘔吐
- 便が出ない
- ガスが出ない
などが現れます。
腹部の手術歴がある方では癒着による腸閉塞が起こる場合があります。また、大腸がんなどが原因となることもあります。
腸閉塞が疑われる場合は、内視鏡検査ではなく、CTなどの画像検査や入院治療が必要になることがあります。
薬による吐き気
薬の副作用として吐き気が起こることがあります。
例えば、
- 一部の抗菌薬
- 鎮痛薬
- 鉄剤
- 糖尿病治療薬
- オピオイド
- 一部の向精神薬
などで吐き気が生じることがあります。
服用開始後や薬の変更後に吐き気が始まった場合は、使用している薬を医師へお伝えください。
自己判断で薬を中止しないようにしてください。
めまい・内耳の病気
回転するようなめまいとともに、
- 吐き気
- 嘔吐
- 耳鳴り
などが起こる場合があります。
耳や平衡感覚に関係する病気が原因のことがあります。
片頭痛
片頭痛では、強い頭痛に吐き気や嘔吐を伴う場合があります。
消化器症状だけではなく、頭痛、光や音への過敏などについても確認します。
妊娠
妊娠初期には、つわりによって吐き気・嘔吐が起こることがあります。
妊娠の可能性がある方は、内服薬や検査内容にも関係するため、診察時に必ずお伝えください。
心臓・脳など消化器以外の病気
吐き気・嘔吐は、必ずしも胃腸の病気とは限りません。
症状の組み合わせによっては、
- 心筋梗塞
- 脳血管障害
- 頭蓋内疾患
- 電解質異常
- 低血糖
などを考える必要があります。
消化器以外の病気が疑われる場合は、必要に応じて適切な診療科または医療機関へご紹介します。
吐き気・嘔吐の検査
吐き気・嘔吐は原因が非常に多いため、すべての方に同じ検査を行うわけではありません。
症状、年齢、経過、服薬状況などから必要な検査を選択します。
問診・診察
次のような内容を確認します。
- いつから症状があるか
- 突然始まったか
- 何回吐いたか
- 食事との関係
- 胃痛・腹痛の有無
- 下痢・便秘の有無
- 発熱の有無
- 血液を吐いていないか
- 黒い便の有無
- 食欲低下
- 体重減少
- 頭痛・めまい
- 胸痛・息苦しさ
- 服用中の薬
- 飲酒歴
- 生魚などの摂取歴
- 胃カメラ歴
- ピロリ菌検査・除菌歴
- 腹部手術歴
女性では、必要に応じて妊娠の可能性について確認します。
血液検査
症状に応じて、
- 炎症反応
- 貧血
- 脱水
- 電解質
- 腎機能
- 肝機能
- 胆道系酵素
- 膵酵素
- 血糖
などを確認します。
嘔吐が続いている場合は、脱水や電解質異常の評価も重要です。
胃カメラ検査
胃カメラでは、食道・胃・十二指腸を直接観察します。
次のような病気の確認に有用です。
現在の芝浦クリニックでも、吐き気・嘔吐に対する検査として、血液検査、腹部エコー、胃カメラを症状に応じて行っています。
このような吐き気では胃カメラをご検討ください
- 吐き気が長期間続いている
- 吐き気・嘔吐を繰り返している
- 胃痛やみぞおちの痛みを伴う
- 胃もたれや食欲低下が続いている
- 少量の食事ですぐ満腹になる
- 市販薬を使用しても改善しない
- 薬をやめると症状が再発する
- 黒い便が出る
- 貧血を指摘された
- 原因不明の体重減少がある
- ピロリ菌陽性または除菌歴がある
- 胃がんの家族歴がある
- 胃カメラを長期間受けていない
吐き気だけで胃カメラが必ず必要というわけではありません。
一方、症状が続いている場合や、体重減少、貧血、黒い便などを伴う場合は、胃の病気がないか確認するため胃カメラを検討します。
当院では、患者さんの健康状態やご希望を確認したうえで、鎮静剤を使用した胃カメラにも対応しています。
女性医師による胃カメラもご相談いただけます。
腹部超音波検査(腹部エコー)
吐き気に、
- 右上腹部痛
- みぞおちの痛み
- 背中の痛み
- 肝機能異常
などを伴う場合は、胆のう・胆管・肝臓・膵臓などを確認するため腹部超音波検査を行うことがあります。
心電図など
吐き気に胸痛、胸の圧迫感、息苦しさ、冷や汗などを伴う場合は、心臓の病気も考えます。
症状に応じて心電図などを行います。
CT・MRIなど
腸閉塞、膵炎、脳疾患などが疑われる場合には、CTやMRIなどの画像検査が必要になることがあります。
当院で対応できない検査や入院治療が必要と判断した場合は、適切な医療機関へご紹介します。
吐き気・嘔吐の治療
治療は原因によって異なります。
単に吐き気止めを使用するだけではなく、原因となる病気を確認したうえで治療します。
吐き気止め
症状や原因に応じて、吐き気・嘔吐を抑える薬を使用します。
胃酸を抑える治療
胃炎、胃・十二指腸潰瘍、逆流性食道炎などが疑われる場合には、胃酸分泌を抑える薬などを使用します。
点滴
嘔吐によって食事や水分を十分にとれず、脱水が疑われる場合には、必要に応じて点滴を行います。
ピロリ菌除菌
ピロリ菌感染が確認され、除菌治療の適応がある場合は除菌治療を行います。
アニサキス症
胃アニサキス症では、胃カメラでアニサキスを確認し、鉗子で摘出します。
感染性胃腸炎
多くの場合は、水分補給や食事調整などの対症療法が中心です。
原因や重症度によって治療内容は異なります。
吐き気・嘔吐についてよくある質問
Q.吐き気が何日続いたら病院へ行った方がよいですか?
A.「何日以上」という日数だけで判断することはできません。
軽い吐き気が短期間で改善する場合もありますが、
- 症状を繰り返している
- 徐々に悪化している
- 食事がとれない
- 水分がとれない
- 胃痛を伴う
- 体重が減っている
などの場合は、日数にかかわらず受診をご検討ください。
Q.吐いてはいませんが、吐き気だけが続いています。受診した方がよいですか?
A.吐いていなくても、吐き気が続く場合はご相談ください。
胃炎、機能性ディスペプシア、薬の影響、めまい、妊娠など、さまざまな原因が考えられます。
特に、食欲低下、胃痛、胃もたれ、体重減少などを伴う場合は、胃カメラを含めた検査を検討します。
Q.吐き気が続いている場合、胃カメラを受けた方がよいですか?
A.すべての吐き気に胃カメラが必要ではありません。
ただし、
- 吐き気が繰り返す
- 長期間続いている
- 胃痛を伴う
- 食欲低下がある
- 黒い便が出る
- 貧血がある
- 体重が減っている
- 胃カメラを長期間受けていない
場合には、胃炎、胃潰瘍、胃がんなどがないか確認するため胃カメラを検討します。
Q.胃カメラが怖いのですが、鎮静剤を使用できますか?
A.当院では、健康状態やご希望などを確認したうえで、鎮静剤を使用した胃カメラにも対応しています。
鎮静剤によって検査中の不安や苦痛が軽減される可能性がありますが、効果には個人差があります。
使用後は、自動車・バイク・自転車の運転はできません。
Q.女性医師による胃カメラを受けられますか?
A.当院では、女性医師による胃カメラにも対応しています。
男性医師による検査に抵抗がある方は、ご予約時に「女性医師希望」とお申し出ください。
担当医の勤務日や検査枠によって、ご希望の日程に対応できない場合があります。
Q.吐き気と下痢があります。食中毒でしょうか?
A.感染性胃腸炎や食中毒では、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、発熱などがみられます。
例えばノロウイルスでは、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛が主な症状です。
ただし、症状だけで原因を特定することはできません。
水分がとれない、高熱、血便、強い腹痛などがある場合は早めに受診してください。
Q.生魚を食べた後に吐き気と胃痛が出ました。アニサキスでしょうか?
A.生または加熱・冷凍が不十分な魚介類を食べた後、突然激しいみぞおちの痛み、吐き気、嘔吐が起こった場合は、胃アニサキス症の可能性があります。
急性胃アニサキス症では、食後12時間以内に症状が起こることが多いとされています。
疑われる場合は、早めに胃カメラをご相談ください。
Q.吐いたものに血が混じっています。様子を見てもよいですか?
A.吐いたものに赤い血や黒っぽい血が混じる場合は、食道や胃などから出血している可能性があります。
大量の吐血、黒い便、強いふらつき、冷や汗などを伴う場合は、通常の外来を待たず救急受診してください。
Q.市販の吐き気止めや胃薬で治ったら受診しなくても大丈夫ですか?
A.一時的に症状が改善しても、原因となる病気が改善したとは限りません。
症状を繰り返す、市販薬を何度も使用している、薬をやめると再発する場合は、原因を確認するため受診をご検討ください。
繰り返す吐き気・嘔吐を放置せずご相談ください
吐き気・嘔吐は、胃腸炎や一時的な体調不良でも起こります。
一方で、
- 胃炎
- 胃・十二指腸潰瘍
- 機能性ディスペプシア
- 胃がん
- アニサキス症
- 胆のう・膵臓の病気
- 腸閉塞
などの病気が隠れている場合があります。
特に、
- 胃炎
- 胃・十二指腸潰瘍
- 機能性ディスペプシア
- 胃がん
- アニサキス症
- 胆のう・膵臓の病気
- 腸閉塞
という方は、一度原因を確認することが大切です。
芝浦クリニックでは、症状に応じて血液検査、腹部超音波検査、胃カメラなどを組み合わせて原因を評価します。現在のクリニックページでも、吐き気・嘔吐に対してこれらの検査を実施する体制が案内されています。
鎮静剤を使用した胃カメラや、女性医師による胃カメラにも対応しています。
