起立性低血圧
起立性低血圧とは
起立性低血圧とは、立ち上がったときに血圧が急激に低下し、めまいやふらつき、時には失神を起こす状態をいいます。
通常、立ち上がると一時的に血液が下半身にたまりますが、健康な状態では自律神経が働いて血圧を保つように調整します。
この調整がうまくいかないと、脳への血流が一時的に減少し、症状が現れます。
起立性低血圧の主な原因
起立性低血圧の原因はさまざまですが、次のような要因が関係しています。
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脱水:発汗や下痢、飲水不足により血液量が減少
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加齢:年齢とともに血圧を調整する機能(自律神経)が低下
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長期臥床:長期間寝たきりの状態が続くと、血圧の調節が鈍くなる
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自律神経の障害:糖尿病やパーキンソン病など、自律神経がうまく働かない疾患によるもの
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薬の影響:降圧薬、利尿薬、抗うつ薬などの服用が関与する場合もあります
起立性低血圧の主な症状
立ち上がった直後に、以下のような症状が現れることがあります。
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めまい・ふらつき
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視界が暗くなる
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立ちくらみ
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倦怠感
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動悸・冷や汗
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失神(意識を失う)
これらの症状は、立ち上がった直後に数秒~数十秒ほど続き、横になると改善するのが特徴です。
ただし、重症の場合は転倒や外傷を伴うこともあるため、注意が必要です。
起立性低血圧の検査・診断
診断には、血圧測定や起立試験(シェロング試験)などを行います。
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血圧測定:仰向け・座位・立位での血圧変化を比較し、起立時に血圧が急激に下がるかを確認します。
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起立試験(シェロング試験):安静状態から立位に変え、血圧・脈拍・症状の変化を経時的に測定します。
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心電図・血液検査:他の心疾患や貧血など、類似の原因がないかを確認します。
起立性低血圧の治療・予防
治療は、原因の改善と生活習慣の工夫を中心に行います。
生活習慣の改善
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十分な水分補給と、適度な塩分摂取を心がける
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急に立ち上がらず、ゆっくりと姿勢を変える
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朝起きるときは、まず座って数十秒待ってから立つ
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弾性ストッキングを使用して、下肢への血液貯留を防ぐ
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食後に眠気やふらつきが出る場合は、少量ずつ分けて食事を摂る
薬物療法
生活習慣の改善で十分な効果が得られない場合、
血圧を上げる薬や自律神経の働きを整える薬を使用することがあります。
薬の調整が必要な場合は、医師が慎重に経過を見ながら処方を行います。
