便秘
便秘とは
便秘とは、排便の回数が少ない、便が硬くて出にくい、排便後もすっきりしない状態などが続くことを指します。 一般的には、数日以上排便がない、または排便があっても強くいきまないと出ない状態が続く場合、便秘と考えられます。
便秘は一時的な生活習慣の影響で起こることもあれば、腸の働きや病気が関係していることもあります。 軽く考えられがちな症状ですが、長期間続く場合は適切な評価が必要です。
こんな症状はありませんか?
- 排便回数が少ない
- 便が硬く出にくい
- 排便時に強くいきむ必要がある
- 残便感がある
- お腹の張りや腹痛を伴う
- 排便後もすっきりしない
- 下剤を使わないと排便できない など
受診をおすすめする症状
- 便秘が長期間続いている
- 以前より便秘が悪化している
- 腹痛や強い腹部膨満感を伴う
- 便が細くなったと感じる
- 体重減少や食欲低下がある
早めの受診が必要なケース
- 血便が出る
- 急に便秘になった
- 強い腹痛や嘔吐を伴う
- 発熱を伴う
これらは、腸の病気が関係している可能性があります。
便秘の主な原因
便秘は、腸の動きや排便の仕組み、体の状態によっていくつかのタイプに分けられます。
原因を整理することで、適切な治療や生活指導につながります。
機能性便秘
腸や直腸に明らかな病変がないにもかかわらず起こる便秘です。 腸の動きや排便反射の働きがうまく調整されず、便を十分に押し出せないことで生じます。 日常診療で最も多くみられるタイプで、生活習慣やストレス、加齢などが関係します。
弛緩性便秘
大腸のぜん動運動が低下し、便を先へ送る力が弱くなることで起こる便秘です。 便が腸内に長くとどまるため、水分が過剰に吸収され、便が硬くなりやすい特徴があります。 運動不足、水分や食物繊維の不足、高齢の方に多くみられます。
痙攣性便秘
大腸が過度に緊張し、ぜん動運動が不規則になることで便の通過が妨げられる便秘です。 ストレスや自律神経の乱れが関係すると考えられており、腹痛やお腹の張りを伴うことがあります。 便秘と下痢を交互に繰り返す場合もあります。
直腸性便秘
便が直腸まで到達しているにもかかわらず、便意を感じにくかったり、排便動作がうまく行えなかったりすることで起こる便秘です。 排便を我慢する習慣や、排便反射の低下、骨盤底の筋肉の働きの低下などが関係します。 高齢の方や長期間便秘が続いている方にみられることがあります。
器質性便秘
大腸や直腸に病変があり、便が物理的に通過しにくくなることで起こる便秘です。 大腸がん、大腸ポリープ、腸の狭窄などが原因となります。 便秘のほか、血便、便が細くなる、腹痛などを伴う場合があり、原因となる病気の評価が重要です。
症候性便秘
症候性便秘は、他の疾患や症状によって引き起こされる便秘の状態を指します。
便通に影響を与える要因として、脳卒中、脊髄損傷、パーキンソン病、甲状腺機能低下症、副腎機能低下症などの疾患や甲状腺や副腎などのホルモンの分泌の異常、薬剤の副作用、筋肉の機能障害などが考えられます。また、妊娠や出産、手術後などの身体的な変化やストレスも関与することがあります。症候性便秘の治療は、原因となる疾患や状態の治療に重点が置かれます。
薬剤性便秘
薬剤性便秘とは、薬の使用が原因で便秘が起こる状態です。一部の薬剤は、腸の運動を鈍らせたり水分の吸収を増やしたりすることで便の通過を遅らせ、便秘を引き起こすことがあります。また、薬剤は直接腸の神経を抑制することで排便を妨げる場合もあります。 具体的な薬剤としては、鎮痛剤や抗うつ薬、抗ヒスタミン薬、鉄剤などが挙げられます。これらの薬剤を使用することで、腸の動きが鈍り、便が硬くなります。 薬剤性便秘は、薬の種類や用量によって症状の程度が異なります。薬の使用を中止することが難しい場合は、医師に相談し、適切な薬剤の選択や追加の治療方法を検討する必要があります。
女性に多い便秘の原因と対策
便秘は女性に多くみられる症状です。 その背景には、女性ホルモンの影響や体の構造、生活習慣が関係しています。
排卵後から月経前にかけて分泌される黄体ホルモンには、腸の動きを緩やかにする作用があり、この時期に便秘が悪化する方がいます。 また、女性は骨盤の構造や筋力の影響を受けやすく、便を十分に押し出しにくいことがあります。
さらに、食事量が少ない、排便を我慢する習慣、ストレスなども便秘を悪化させる要因となります。 便秘が続く場合や症状がつらい場合は、体質と決めつけず、一度ご相談ください。
便秘を伴う疾患
便秘は単独で起こることもありますが、背景に病気が隠れている場合もあります。 特に便秘が長く続く場合や、症状に変化がある場合には注意が必要です。
大腸がん
大腸がんが進行すると、腸管が狭くなり便が通過しにくくなるため便秘が起こることがあります。 便が細くなる、血便、体重減少などを伴う場合は、早めの検査が重要です。
大腸ポリープ
大腸ポリープ自体は症状が出にくいこともありますが、大きくなると便の通過を妨げ、便秘の原因となることがあります。 検診や内視鏡検査で見つかることが多い疾患です。
過敏性腸症候群(IBS)
腸に明らかな異常がないにもかかわらず、腹痛や便秘、下痢を繰り返す病気です。 便秘型や便秘と下痢を交互に繰り返すタイプがあり、ストレスが関係することがあります。
腸管閉塞(イレウス)
腸機能障害、腸の捻じれ、腫瘍などによって腸が詰まって、便が移動できない状態を腸閉塞と言います。腸内に便やガスが溜まってお腹の張りや腹痛、嘔吐、発熱が起こります。
便秘の検査について
ここ最近の排便の調子やお悩みの症状、症状の変化、既往症、現在服用している薬などについて、細かくお伺いしていきます。その後に腹部の聴診と触診、腹部X線検査を受けていただきます。検査結果から、何らかの疾患がないか、便秘のタイプ、原因などを総合的に判断して、診断しております。 また、必要に応じて、血液検査や超音波検査、大腸カメラ検査を受けていただくこともあります。 大腸カメラ検査は、病変によって腸の閉塞・狭窄が起きていないかを観察することができる検査です。また、腸管の長さや、特定の疾患特有の病変がないかも、組織を採取して病理検査を行うことで分かります。また、早期の大腸がんやポリープがあるかどうかも確かめられます。当院の大腸カメラ検査は、経験・知識共に豊富な内視鏡専門医が担当しており、鎮静剤を使ってウトウトしたまま検査を受けていただけます。
便秘の治療法
便秘の治療は、原因や便秘のタイプ、症状の強さに応じて行います。 一時的な対処だけでなく、便秘が起こりにくい状態を目指すことが大切です。
食事療法
便の量や腸の動きを保つためには、適切な食事が欠かせません。食物繊維や水分が不足すると、便が硬くなりやすくなります。 一方で、便秘のタイプによっては食物繊維を増やしすぎることで症状が悪化する場合もあるため、状態に応じた調整が必要です。
運動療法
適度な有酸素運動を心がけてください。激しい運動をする必要はなく、散歩や階段利用など日常に取り込みやすい運動で構いません。運動を継続することで、筋力が付き基礎代謝が上がります。血流が促されることで腸機能も改善できます。ストレッチなども有効です。
生活習慣改善
規則正しい食事や睡眠などで、腸機能を改善していきます。また、便意があった際は、なるべく我慢せずにトイレに行くことが大切です。これらの生活習慣の改善は、便秘解消だけではなく全身の健康増進に繋がります。また、湯船に浸かって全身を温めることで血行が良くなり、便秘解消できます。ストレスも便秘に大きく影響するため、リラックスできる時間を過ごすのもお勧めです。
薬物療法
生活習慣の改善だけで十分な効果が得られない場合には、薬による治療を行います。 便をやわらかくする薬、腸の動きを助ける薬、排便を促す薬などがあり、便秘のタイプに応じて使い分けます。 自己判断で市販の下剤を長期間使用することは避け、医師の指示のもとで調整することが大切です。
